「はまなす車いすマラソン2023」昨年に続いて再び日本新記録を樹立!!
平成27年から北海道マラソンと合同開催している「はまなす車いすマラソン」は、今年で7回目の合同開催を迎え、約2万人のランナーとともに、ハーフマラソン、ショートレースそれぞれの競技に参加した車いすランナーが、札幌の街並みを走り抜けました。
車いすハーフマラソンには、全国各地からトップアスリートの選手が参加し、ショートレースには子どもたちからベテラン選手まで多くの方々に参加いただきました。
競技当日は7時50分にハーフマラソンがスタートしましたが、その時点で気温が既に30℃、湿度も非常に高い状況であり、選手にとっては、厳しい環境でのレースとなりました。
今年もまた、鈴木知事がスターターを務め、33名の車いすランナーが一斉にスタートし、男子は渡辺 勝選手(福岡市)が初優勝を決め、2位の西田宗城選手(大阪府)と最後まで接戦を繰り返し、見事に1秒差で振り切りました。
渡辺選手のフィニッシュタイムは、43分26秒という好タイムでしたが、昨年は西田選手が1位、渡辺選手が2位という結果で、今年はその悔しい思いを胸に「必ず雪辱を晴らす」とレース前に語ってくれた渡辺選手でした。
その意気込みを有言実行された渡辺選手の顔には、レース後に本当に嬉しそうな笑みがこぼれていたのが印象的でした。
しかし、今回のレース内容には全く納得していない様子で、来年は「もっと走りに磨きをかけて参加する」と語ってくれ、今後の成長が非常に楽しみな渡辺選手です。
一方、女子のレースにもまた新たなドラマがありました。
今年は過去10年間で最も女子のエントリーが多く、中でも昨年の覇者であり、日本記録まで樹立した土田和歌子選手(東京都)の走りに注目が集まりましたが、残念ながらコンディション不良による欠場で、女王不在のレースとなりました。
しかし、昨年優勝した土田選手に惜しくも2秒差で敗れた一人の選手が、静かに闘志を燃やしていました。
東京パラリンピック2020の車いすマラソンで活躍したのは、皆さんの記憶にも新しいところかと思いますが、あの喜納 翼選手(沖縄県)です。
女王不在のなかで、闘いに挑む喜納選手には、孤高のひりつく痛みさえ感じましたが、歴史の扉を新たに開くことになるとは、彼女自身も想像していなかったと語ってくれました。
男子も含めた総合順位は7位、女子の部では無論の如く優勝、勝つことだけを義務付けられた喜納選手が出した記録、それは、まさかの日本記録の更新でした。
昨年の土田選手の記録を、11秒も更新する48分35秒のタイムには、関係者たちからも歓喜の声が上がりました。
来年もまた必ず参加したいと語ったくれた喜納選手でしたが、新時代の女王として今後は益々の活躍が期待されます。
はまなす車いすマラソンは、コースが広く走りやすいため、2018年に久保恒造選手(北海道)が出した記録が、男子の日本記録を更新し(現在はさらに更新されています)、昨年2022年は土田選手(東京都)が女子の日本記録を更新、さらに今回は喜納選手(沖縄県)が、その記録を更新といった素晴らしい記録が出ています。
また、全国的にも車いすマラソン競技者は減少傾向にありますが、ショートレースには例年多くの方々に参加をいただいており、参加人数も増加傾向にあります。
ショートレースも札幌の中心部である駅前通コースで行われ、秋元克広市長の号砲で9時10分にスタートし、気温が高いという状況のなか、1㎞、2㎞コースに出場した30人は、それぞれの選手が市民からの声援を受けて、素晴らしい走りを見せてくれました。
レース終了後には、ハーフマラソンの表彰式が行われ、当協会の佐藤俊夫会長が主催者を代表して挨拶をし、各クラスの上位者には入賞盾が贈られました。
入賞した各選手からのスピーチでは、来年の抱負や今大会の運営に携わったスタッフやボランティアの皆さんに、感謝の言葉が述べられました。